PD-L1≧50%のペムブロリズマブ単剤の長期成績

Five-Year Outcomes With Pembrolizumab Versus Chemotherapy for Metastatic Non-Small-Cell Lung Cancer With PD-L1 Tumor Proportion Score ≥ 50.

Reck M et al.
J Clin Oncol. 2021 Apr 19
PMID:33872070.

Abs of abs.
非小細胞肺癌に対する初回治療の第Ⅲ相免疫療法では初めてとなる5年間の追跡結果を報告する。KEYNOTE-024は、TPS50%以上で、EGFRまたはALK変異がない、前治療歴のない非小細胞肺癌患者を対象に、ペムブロリズマブ単剤をプラチナベースの化学療法と比較した無作為化オープンラベル比較試験であった。これまでの解析では、ペムブロリズマブの無増悪生存期間と全生存期間が有意に改善している。患者をペムブロリズマブ単剤(200mg/3週毎、最大35サイクル)、またはプラチナ製剤を用いた化学療法に無作為に割り付けた。化学療法群で進行した患者は、ペムブロリズマブへのクロスオーバーが可能であった。主要評価項目は無増悪生存期間であり全生存期間は副次的評価項目であった。305人の患者が無作為に割り付けられ、154人がペムブロリズマブ、151人が化学療法に割り付けられた。ランダム化からデータカットオフまでの追跡期間中央値は59.9カ月(55.1~68.4)であった。化学療法に割り付けられた患者のうち、99人が後に抗PD-1またはPD-L1治療を受け、クロスオーバー率は66.0%であった。全生存期間中央値は、ペムブロリズマブ群で26.3カ月[18.3-40.4]、化学療法群で13.4カ月[9.4-18.3]であった(ハザード比0.62[0.48-0.81])。推定5年生存率は、ペムブロリズマブ群で31.9%、化学療法群で16.3%であった。39人が35サイクル(約2年)のペムブロリズマブ投与を受け、その82.1%の患者がデータカットオフ(約5年)時点で生存していた。毒性は治療期間が長くなっても増加しなかった。ペムブロリズマブは、TPS50%以上の転移性非小細胞肺癌の一次治療として、化学療法と比較し持続的で臨床的に意味のある長期生存をもたらす。

感想
昨年のESMOで発表されたデータですが、改めて読んでみました。日常臨床に役立つデータが多い報告です。まずペムブロリズマブ群での5年PFSが12.8%あり(化学療法は4年で0です)、2年のペムブロリズマブ投与を終えた患者の5年生存率が82.1%も重要な情報です。つまり免疫療法単剤だけで完治に近い人も出ること、また2年投与を完遂すれば、かなりの割合で5年以上が望めることになります。一方化学療法群の2/3が後に免疫療法を受けたという条件ですが、5年生存率が16.3%あり、地味ながらこちらもかなり良い成績です。現在複合免疫療法が主体ですが、今後KM189レジメンとの長期比較がなされると思います。おそらく全体としては189レジメンの方がよいでしょうが、PD-L1超高発現や、高齢者集団ではペムブロリズマブ単剤投与が良いかも知れません。私たちは免疫療法の普及により確実に外来フォローアップが増えることを覚悟しなくてはなりません。また手術例では5年でフォローアップ終了が一般的でしたが、免疫療法例では完治終了扱いが可能なのか考えていかねばならない時期が来ると思います。