RECIST評価 大きいもの2病変で十分?

Reducing number of target lesions for RECIST1.1 to predict survivals in patients with advanced non-small-cell lung cancer undergoing anti-PD1/PD-L1 monotherapy.

He LN et al
Lung Cancer. 2021 Dec 31;165:10-17.
PMID: 35051754.

Abs of abs.
固形癌に対する効果判定は、RECIST ver1.1がこれまでの標準となっている。今回は抗PD-1/PD-L1単剤治療を受けている進行非小細胞肺癌において、奏効と生存予測を損なわず標的病変をどこまで少なくできるかについて検討した。PD-1/PD-L1阻害薬を受けている測定可能病変が2つ以上ある非小細胞肺癌125名を後ろ向きに検討した。1臓器につき2病変まで、合計5病変までの測定法を検討した。最大5つの標的病変の場合と、最大1~4つを標的とした場合を比較し、個人間の一致度と方法間の一致度をκ値で評価した。また選択した標的病変数に応じた奏功率と生存期間における精度をC-indexで評価した。大きい方から最大2病変と最大5病変の測定で比較した場合、効果判定はほぼ一致(99.2%)した。最大2~4病変とした場合の効果判定におけるκ値はそれぞれ0.986、1.000、1.000となり、1病変とした場合(κ=0.850)より有意に高い値となった。生存期間のC-indexは,最大1~5病変を評価した場合,0.646~0.654とほぼ同じであった。Cox回帰では、選択した標的病変の数にかかわらず、画像上の奏効がOSを有意に予測することが示された。抗PD-1/PD-L1療法を受けた進行非小細胞肺癌において、標的病変の数を減らしてもOSの予測には影響しない。個人および方法間で高い一致率であることから、大きい方から2つの病変径和を使用して奏効を評価できると思われる。

感想
要するに効果判定に用いる病変数を減らして楽にしても精度が落ちないか?という疑問に答えた研究です。本文を読むとこの話が肝細胞癌のRECIST評価から来ていることがわかります。病変が多数ある場合、径和を取ることはかなり面倒です。大きいもの2つ測れば十分ということになれば、臨床試験の負担も少し減るでしょう。今回は免疫療法単剤についての奏効評価ですが、免疫複合療法や分子標的治療についてもおそらく同じことが言えるのではないかと思います。ただし最大の病変が測定に適した形をしているとは限らず、変な測り方をしてしまうかも知れません。また空洞化した場合なども解釈が難しいかもしれません。このあたりはRECISTの原本を読んでみると勉強になります。さまざまな議論を経てまとめられたもので読み返すと非常に勉強になります。人事異動の季節です。若い先生は上司を試す(?)のに、上級医は豆知識の披露に小ネタを仕入れてみてはいかがでしょうか。