Comparison of SP142 and 22C3 Immunohistochemistry PD-L1 Assays for Clinical Efficacy of Atezolizumab in Non-Small Cell Lung Cancer: Results From the Randomized OAK Trial.
Gadgeel S et al.
Clin Lung Cancer. 2021 May 30
PMID:34226144.
Abs of abs.
第Ⅲ相OAK試験のサブグループ解析(データカットオフ、2019/1/9)で、既治療転移性非小細胞肺癌患者におけるアテゾリズマブ対ドセタキセルの有用性に関する評価として、2つのPD-L1発現(VENTANA SP142、Dako 22C3)によるの予測の検討を行った。PD-L1発現は、SP142に基づくTC/ICと、22C3に基づくものとで評価した。有効性は、22C3バイオマーカー評価対象集団(22C3-BEP)(n=577、SP142での47.1%)と非22C3-BEP(n=648)において、PD-L1サブグループ(高、低、陰性)および1つまたは両方の測定法によって評価した。22C3-BEPでは、PD-L1サブグループ全体において、アテゾリズマブとドセタキセルの比較による全生存期間の延長が認められ、SP142でのPD-L1-高値(TC3またはIC3:ハザード比0.39[0.25-0.63])、22C3でのPD-L1高値(TPS≧50%:ハザード比0.56[0.38-0.82])と低値(TPS、1%~<50%:ハザード比0.55[0.37-0.82])で、その利益は最大となっていた。無増悪生存期間は、両アッセイともPD-L1発現量の増加とともに改善していた。SP142と22C3により、PD-L1高発現群、陽性群、陰性群の患者集団が重複していたものと、乖離のある独自集団が同定された。全生存期間と無増悪生存期間の利益は、PD-L1両陽性と両陰性で、アテゾリズマブがドセタキセルよりも有利であり、特にSP142と22C3の両方陽性が最大の利益となった。本検討からSP142と22C3は、スコア化と感度レベルに違いがあるもかかわらず、非小細胞肺癌患者においてこれまでのPD-L1値と同じようにアテゾリズマブの利益を予測できた。
感想
資料的価値の高いデータです。示されているデータはサブサブ解析になっているので、背景が統一されていないことに十分な注意が必要です。一般的にはSP142と22C3は、ほぼ同じ傾向を示すと認識されています。結論的には今回もその域を出ません。しかし興味を引くのは、両方強陽性であることに意味があるのか、または乖離した評価の場合どうなるのかという点です。結果はTC3orIC3かつTPS≧50%(Fig5F)では、ドセタキセルと比較したアテゾリズマブの利益が大きく、TPS<1%でなんらかのTC/ICが出ている場合(Fig5A)やTPS≧50%でTC/ICが2以下の場合は利益が見えなくなっています。おそらくはバイアスかと思いますが、結果を素直に受け入れるならば、各社のバイオマーカーを測定し、それに見合ったICIを使用すべきということができるでしょう。そもそもPD-L1染色自体にドライバー変異ほどの有用性はないですし、ニボルマブ+イピリムマブ(+α)に至ってはPD-L1染色そのものの信頼すら揺らぐような結果が報告されています。私たちはある程度信頼を置きつつも、期待しすぎて治療を引っ張りすぎることを強く自戒すべきでしょう。