コロナ感染者にワクチンの意味はあるか?

Effectiveness of the BNT162b2 Vaccine after Recovery from Covid-19.

Hammerman A et al.
N Engl J Med. 2022 Feb 16 Epub ahead of print.
PMID:35172072.

Abs of abs.
SARS-CoV-2感染リスクは、Covid-19から回復した患者で大幅に減少する。しかし、免疫がどの程度持続するかは不明である。このようなケースへのワクチン効果のデータがまだ少ないものの、現行ガイドラインにおいてCovid-19から回復した患者へのワクチン接種が推奨されている。今回の後ろ向きコホート研究は、イスラエルの大規模データベースから、Covid-19に対するワクチン接種前に SARS-CoV-2感染から回復した患者の再感染率を調査した。2021年3月1日~11月26日の間に,その後 BNT162b2ワクチン(ファイザー/バイオテック)を接種した患者と接種しなかった患者における再感染率を比較した。時間依存共変数を用いたCox比例ハザード回帰モデルを用いて,人口動態的因子および合併症の調整後に,ワクチン接種と再感染との関連を推定した。ワクチンの有効性は,1からハザード比を引いた値として推定した.追加解析として1回接種と2回接種を比較した。
149032人が適格となり、うち83356人(56%)が270日間の研究期間中にワクチン接種を受けていた。再感染は,ワクチン接種患者で354 例(2.46人/10万人/日),ワクチン非接種患者 65676人中2168人(10.21人/10万人/日)に発生した.ワクチンの有効性は、16歳から64歳の患者では 82%[80-84],65歳以上の患者では 60%[36-76]と推定された.1回接種と2回接種に有意差は見られなかった。本研究からCovid-19から回復した患者において,BNT162b2ワクチンの少なくとも1回の接種により、感染リスクは有意に低下した。

感想
ワクチン未接種群とワクチン接種群の再感染のハザード比は、16-64歳で0.18、65歳以上で0.40でした。また2回接種群と1回接種群のハザード比0.98でほとんどリスク軽減になっていませんでした。Fig2が結果のすべてです。私が見ている肺癌患者さんの中にも徐々にコロナ感染者が増えています。ワクチンを受けている方がほとんどでオミクロン株のためもありますが、重症化した方はいません。初期には「コロナになったけれどもワクチン受けた方がいいですか」と聞かれることもありました。これまでのデータでワクチン接種を勧めていたのですが、今回きちんと実証されたことになります。ただ今回1回目と2回目でほとんど変わらなかったのは少し気になりますし、今後の変異株の動向でも大きく変わるかもしれません。ようやく第6波もピークアウトしてきたようです。私の病院での忙しさは、日々発表される患者数と完全に連動しており、肌感覚として減ってきたと感じています。