フォローアップ方法についてのメタアナリシス

Effect of Follow-Up Surveillance After Curative-Intent Treatment of NSCLC on Detection of New and Recurrent Disease, Retreatment, and Survival: A Systematic Review and Meta-Analysis.

Stirling RG et al.
J Thorac Oncol. 2021 May;16(5):784-797.
PMID:33588110.

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治癒目的の治療を行っても、非小細胞肺癌患者は再発と第二肺癌(SPLC)の両方のリスクが高く、また早期死亡のリスクも高いままである。ガイドラインにはフォローアップに関する推奨事項はあるが、コンセンサスがなく、利用可能なエビデンスのレビューが必要である。治癒目的の治療後に再発/SPLCを検出する目的で、体系的なフォローアップ戦略を使用すると、再治療が可能な患者の割合が増加し、サーベイランス検出を行った患者の生存率が向上する可能性がある。今回は次の3つの疑問に答えるために、治癒目的の治療後の非小細胞肺癌のフォローアップに関する前向き研究のレビューとメタアナリシスを行った。3つの疑問とは①再発/SPLCの検出に対する追跡調査の効果は何か、②治癒目的の再治療に対するサーベイランス検出の効果は何か、③生存率への影響はどうか? である。再発/SPLCは17.8%から71%の患者に認められた。予定されていた画像診断では60%から100%の症例で再発が検出されたが、CTフォローアップ(OR=2.31[0.27-19.49]、p=0.44)も、PET-CTフォローアップ(OR=1.431[0.92-2.22]、p=0.12)も、標準的なフォローアップ戦略よりも統計学的な優越性は示されなかった。再発/SPLCの検出は、治癒目的の再治療のオッズを有意に増加させた(OR=4.31[2.10-8.84]、p<0.0001)。報告された研究をまとめると、治癒目的の再治療は生存期間を延長していた。再発/SPLCの早期発見は、治癒目的の再治療の可能性を高め、生存期間を延長する可能性がある。利用可能なフォローアップ方法の有効性を確認するために、前向き無作為化比較試験の必要性は明らかである。

感想
フォローアップ方法として、多くとられているのは切除後2年間は6か月ごとにCTを使用し、その後は毎年CTを行う方法です。詳しくは米NCCでは外科治療後は6ヶ月毎CTを2-3年、放射線治療後は3-6カ月毎CTを3年を推奨しています。そもそも何のためにフォローアップを行うか、もっと突き詰めればフォローアップによって再発の発見を早めることが生存延長につながるかが重要となります。つまりいくら早く見つけても生命予後の改善につながらなければ意味がないという考え方です。今回の結果の中心はFig3で、定期CTに加えて脳MRIや骨シンチ、あるいはPET-CTを使うと確かに病気の発見にはつながるが、オッズ比が2.31と1.43とあまり大きな差にならないというところです(オッズ比の信頼区間は1を跨ぐ)。ディスカッションにあるようにEdelmanの提唱した指針[Edelma MJ J Gen Intern Med1997 PMID:9159703]も役に立ちます。その内容をごく簡単に言えば、フォローアップの期間と間隔はがんの生物学的特性に基づくべきである、2次癌のリスクを考慮に入れるべきである、発見されやすい場所に焦点を当てるきであることに加え、有効な治療が利用可能、早期の治療が予後の改善につながることも条件に挙げられています。これらの点を念頭に入れてフォローアップの検討されるべきでしょう。その立場から見ると腫瘍マーカーを毎月測り、微妙な上がり下がりに一喜一憂するのはスマートとは言えません。細かく考えると1期と3期では再発頻度も違い、またドライバー変異の有無によって遠隔転移の頻度も異なるわけですし、また治療の進歩によりPFSは伸びて来ているわけですのでもっと深くフォローアップ方法は研究されるべきだと思います。