Long-Term Benefit With First-Line Osimertinib Monotherapy in EGFR-Mutated Advanced NSCLC in the Era of Intensified First-Line Therapy.
Ishida M et al.
J Thorac Oncol.2026 Sep 21 Epub ahead of print.
PMID:42767607.
Abs of abs,
進行性EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対し、オシメルチニブ単剤療法は依然として初回標準治療であるが、治療強度を高めたレジメンは、毒性や治療負担を代償として、治療成績を改善している。本研究では、長期的な治療効果 (LTB) に関連する治療前の臨床的特徴を明らかにし、探索臨床スコアを構築した。本後ろ向きコホート研究は、2018年9月から2022年3月の間に、日本の25施設において進行再発EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対し、初回オシメルチニブ単剤療法を受けた患者を対象とした。本研究では、FLAURA2試験に基づき、LTBを「PFS≧24ヶ月かつOS≧48ヶ月」と定義した。LTBに関連する因子は、多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。独立して関連する6つの良好な因子について、該当する場合にそれぞれ1点を割り当て、0-6点の探索的スコアを算出した。対象となった803名の患者のうち、204名(25.4%)がLTBを達成した。独立して関連する6つの要因は、75歳未満、ECOG-PS0-1、血清アルブミン値3.5 g/dL以上、術後再発、19del、肝転移なしであった。LTBの発生率は、0-2点群、3-4点群、5-6点群でそれぞれ2.5%、19.0%、50.7%であった(p<0.001)。PFS中央値は、それぞれ7.2、16.8、30.5ヶ月であり、OS中央値は、それぞれ12.7、35.9、68.3ヶ月であった。今回の探索的スコアは、オシメルチニブ単剤療法による長期成績が得られる可能性を層別化する。しかし治療強度を高めたレジメンよりも単剤療法がよいとの結論を導くものではない。
感想
本研究は、国内25施設から1025例(スコア解析は803例)を集めた、日本の実臨床データとしては最大の後ろ向き解析です。解析は、候補因子の事前規定→単変量解析→多変量ロジスティック回帰→有意因子のスコア化という、オーソドックスな流れを踏んでいます。共変量は、既知の予後因子と臨床的な関連性に基づいて事前に規定されています。多変量モデルに投入されたのは、年齢(75歳未満対75歳以上)、性別、PS(0–1対2以上)、BMI(18.5㎏/m²以上対未満)、ベースライン血清アルブミン値(3.5 g/dL以上対未満)、病態(術後再発対進行期)、EGFRサブタイプ(エクソン19欠失対その他)、骨・脳・肝転移の有無です。面白いのは、点推定で最も強い因子がアルブミンである一方、同じく栄養状態を反映しそうなBMIが多変量解析で脱落している点です(p=0.079)。両者は情報が重なっており、炎症や全身状態も反映するアルブミンのほうが、BMIの説明力を吸収したのだろうと思われます。ただしスコアは全因子を等しく1点としているため、アルブミンの重みは反映されていません。PD-L1は欠測が多く(スコア解析コホートの44.2%)、主解析からは除外されています。データのそろった448例で追加した感度分析でも、LTBの独立因子にはなりませんでした。ただしスコアとPD-L1の間には有意な交互作用がみられ、PD-L1高発現例ではスコアによる層別化がより強く効いていました。この点は今後の検証課題として興味深いところです。改めてFLAURAのOS論文と見比べると、L858Rではオシメルチニブの優位性がOSで示されておらず、本研究でもエクソン19欠失がLTBの独立因子でした。オシメルチニブ単剤はL858Rに対して弱く、治療改善の余地があるように思われます。もちろんFLAURAの比較対象は第1世代TKIであり、本研究はオシメルチニブ単剤内での予後因子の解析なので、意味合いは異なります。それでも、FLAURA2では化学療法の上乗せ効果がL858Rでも保たれていたとされます。L858R例は治療強化を検討すべき集団という見方は、複数の研究から矛盾なく支持されると感じました。また術後については現在術後補助でオシメルチニブが入りますので、このモデルでは説明しきれなくなります。