Continuation of Lorlatinib in ALK-Positive NSCLC Beyond Progressive Disease.
Ou SI et al.
J Thorac Oncol. 2022 Apr;17(4):568-577.
PMID:35026476.
Abs of abs.
強い選択性を持つ第3世代ALK-TKIロルラチニブは、ALK陽性患者において、全身および頭蓋内活性を示す。現在進行中の第2相試験(NCT01970865)を後ろ向き解析し、病勢進行以降もロルラチニブを継続投与することの有用性を検討した。ALK-TKIとしてクリゾチニブの治療歴だけがある患者をA群(n=28)、少なくとも1つの第2世代ALK-TKIの治療歴がある患者をB群(n=74)とした。Beyond投与は、主治医がPDと判断した後、3週間以上のロルラチニブ投与を行ったものとした。これには最良効果がSD以上の患者のみを対象とした。背景に群間差はなかった。Beyond投与の治療期間中央値は32.4カ月(A群)、16.4カ月(B群)であった。これに対し非beyond投与では12.5カ月(A群)、7.7カ月(B群)であった。生存期間中央値は、beyond投与のA群では中央値に到達せず、非beyondでのA群が24.4カ月[12.1-NR]、beyond投与のB群では26.5カ月[18.7-35.5]、非beyondでのB群は14.7カ月[9.3-38.5]であった。A群とB群の病勢増悪後の全生存期間中央値は、beyond群ではA群は到達せず[21.4-NR]、B群14.6ヶ月[11.2-19.2]、非beyondではA群8.0ヶ月[1.5-NR]、B群5.3ヶ月[2.8-14.3]であった。今回の研究からロルラチニブのbeyond投与は、この治療で進行したALK陽性患者の一部で実現可能な治療戦略と考えられる。
感想
進行非小細胞肺癌で最も長い生存期間が得られるのはALK陽性肺癌です。これはALK-TKIに対する反応性が良いことが主因ですが、それでもこれだけで完治には至らず治療への模索が続けられています。EGFR遺伝子変異では少なくともゲフィチニブbeyond投与の明確な生存利益は確認されていません。また明らかな治療シークエンスによる差も確認されていません。ALK陽性肺癌もそれになぞらえて考えていましたが今回のデータを見るとまだそうとも言い切れないようです。考察でも述べられているようにbeyond投与は患者選択が働いている可能性があります。例えば全体的に病巣が小さい、オリゴメタで放射線での制御が可能といった状況も考えられます。別問題ですが、実臨床では治療を使い尽くした状態でもTKIは最後まで投与を行っていくことも多いと思います。これは「主治医の気持ち」である場合が多いともいますが、これも本当は厳密に検証されねばならないと思います。