病的骨折を防ぐための予防的放射線照射

Prophylactic Radiation Therapy Versus Standard of Care for Patients With High-Risk Asymptomatic Bone Metastases: A Multicenter, Randomized Phase II Clinical Trial.

Gillespie EF et al.
J Clin Oncol. 2024 Jan 1;42(1):38-46.
PMID:37748124

Abs of abs.
有症状の骨転移に対する緩和照射は標準治療である。今回は無症候性骨転移に対する放射線照射の骨関連イベントの予防効果を評価することを目的とした。多施設共同無作為化比較試験として転移性の固形がん患者を、無症候性高リスク骨転移巣へのRTを受ける群と標準治療のみを受ける群に1:1で割り付けた。なお組織型およびSOC(化学療法または経過観察)により層別化した。本試験の主要評価項目はSREであった。副次項目としてSREによる入院と全生存期間とした。2018年5月8日から2021年8月9日の間に3施設において、122か所の高リスク骨転移を持つ患者78人が登録された。73人が主要評価項目の評価が可能であった。多い原発は肺(27%)、乳腺(24%)、前立腺(22%)であった。1年後、SREはRT群では62か所中1例(1.6%)に、SOC群では49か所中14例(29%)に発生した(P<0.001)。SREのために入院した患者は、SOC群と比較してRT群で有意に少なかった(0対4、P=0.045)。追跡期間中央値2.5年で、OSはRT群で有意に長く(ハザード比0.49[0.27-0.89];P=0.018)、これは多変量解析でも維持された(ハザード比0.46[0.23-0.85];P=0.01)。無症状の高リスク骨転移に予防的に放射線を照射することでSREおよび入院が減少した。また予防的放射線照射によるOSの改善も見られたが、第Ⅲ相による確認が必要である。

感想
骨転移に対する放射線治療はまだ決まっていないことが多い領域です。疼痛緩和に使われるのは共通していますが、痛みがないが病的骨折を予防する意義があるのか、全身転移の場合、何か所まで対応するのか、至適線量はどれくらいかなど未解決の問題が山積しています。骨関連イベントについては、ゾレドロン酸、RANKL抗体について発生頻度を抑えるエビデンスがありますが、予後を延ばすかは癌種によって異なります。臨床医としては「危険部位はどこか」「QOL低下につながるSREは何か」を抑えておく必要があります。その上で顎骨壊死のリスクと釣り合いを取りながら薬物治療を考え、今回のような予防照射を考えます。病的骨折の予測はMirelスコアが有名ですが、30年以上前のもので大味でありさまざまな変型が報告されています。
今回の高リスク部位とは、2㎝以上のもの、股関節(寛骨臼、大腿骨頭、頚部)、肩(肩峰、関節窩、上腕骨頭)、仙腸関節、1/3から2/3の菲薄化を伴う長管骨、C7-T1、T12-L1、L5-S1です。照射方法は27Gy/3Fr、20Gy/5Fr、8Gy/1Fr、30Gy/10Frとさまざまでした。おそらくこの線量で大きな有害事象は考えにくいので、後は照射枠の空きとコストかと思います。