Phase II study of ramucirumab plus erlotinib for treatment-naïve patients with EGFR-mutant non-squamous non-small cell lung cancer and pleural effusion (RELAY-Effusion).
Kaneda H et al.
Lung Cancer. 2026 Jul;217:
PMID:42096800.
Abs of abs,
悪性胸水(MPE)は、EGFR遺伝子変異を有する患者を含め、非小細胞肺癌の約30-40%に発生し、一般的にEGFR-TKIに対する反応性の低下と関連している。今回はMPEのある症例におけるラムシルマブの有効性を検討することを目的とした。単群多施設共同第Ⅱ相試験として行われ、MPEを合併したEGFR遺伝子変異陽性患者で、未治療の患者を登録した。患者は、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで、2週間ごとにラムシルマブ(10mg/kg)とエルロチニブ(150 mg)の1日1回投与が行われた。主要評価項目は無増悪生存期間とし、副次評価項目は奏効率、全生存期間、安全性とした。2021年12月から2023年12月の間に40名の患者が登録された(追跡期間中央値:29.5ヶ月)。PFSおよびOSの中央値は、それぞれ12.9[7.3-16.7]および36.3[28.5-NA]ヶ月であり、12ヶ月OS率は87.5%、ORRは77.5%([61.5-89.2%]であった。ドレナージ不要生存期間の中央値は33.0ヶ月[26.0-NA]であった。治療関連有害事象は患者の85%に認められた(グレード5=0%;グレード3/4=22.5%); 最も頻度が高かったのは、皮疹(60.0%)、食欲低下(30.0%)、AST上昇(25.0%)、爪囲炎(22.5%)、高血圧(22.5%)、蛋白尿(22.5%)、貧血(22.5%)であった。主要評価項目は達成されなかったものの、この組み合わせはMPEを長期にコントロールできており、忍容性も良好であった。このことは、ハイリスクなサブグループに対する症状重視のマネジメントにおいて、本療法が潜在的な価値を有することを示唆する。
感想
今回はプライマリーエンドポイント未達成とのことですが、ドレナージ不要の生存期間が33.0ヶ月あり、OSが36.3ヵ月であることからほとんどドレナージ不要となったことは大きな利点と評価できます。ただし胸水の定義がCTなのかXpなのかよくわかりませんので、貯留度合いで変わるのかも知れません。プライマリーエンドポイントに関して、今回PFSの閾値を9か月としましたが、12.9ヵ月[7.3-16.7]となってしまい達成されませんでした。細かく見ると19Delで14.8ヵ月[9.7–24.0]、L858Rで7.3ヵ月[5.1–16.6]であり、あきらかにL858Rが足を引っ張っています。もともと胸水例ではTKIに限らず効果が減弱するため、何か工夫が必要と思われてきました。一番簡単なのは血管新生阻害薬で、過去には殺細胞性抗がん剤との組み合わせでコントロールし得ることが複数報告されています。ただ血中あるいは胸水中のVEGFとアウトカムとの関係は今一つはっきりせず、やってみなければわからない面もあります。
さて現在EGFR遺伝子変異陽性の初回治療はこれ以外にも存在します。例えば胸水例に対してラゼルチニブ+アミバンタマブがどのような成績になるのかわかりません。胸水例はPS不良が多いのでそう考えるとEGFR-TKI単剤もなお選択肢となり、ガイドラインでは「強く推奨」となっています。しかし一方でEGFR-TKI単剤が何かについて肺癌学会ガイドラインでは明言されていません。PS不良例での主な問題点は肺臓炎の高い発症率です。この意味でいうと血管新生阻害薬は肺臓炎の発症率を確実に低下させますので、ぎりぎりの線でのTKI単剤または血管新生阻害薬上乗せという戦いとなります。今回のデータは少数ですがPS2も含まれており、実臨床で大きく参考になるデータと考えています。