Utility of 18F-FDG PET/CT uptake values in predicting response to neoadjuvant chemoimmunotherapy in resectable non-small cell lung cancer.
Zhuang F et al.
Lung Cancer. 2023 Feb 3;178:20-27.
PMID:36764154.
Abs of abs.
術前化学免疫療法を受けた切除可能な非小細胞肺癌に対して、信頼できる予測マーカーがない。今回は切除可能例の術前化学免疫療法に対する反応性を予測するために、PET/CTでのSUVmax値を検討した。5病院から、SUVmax、臨床的および病理学的なアウトカム集めた。患者をそれぞれコホートA(化学免疫療法)とコホートB(化学療法)に分け、コホートC(化学免疫療法)は治療後のPET/CTを受けた患者とした。SUVmaxとmajor pathologic response(MPR)との関連は、ROC曲線で評価した。計129例、MPR率46.5%であった。術前化学免疫療法では、ΔSUVmax%(AUC:0.890[0.761-0.949] )と治療後のSUVmax(AUC:0.933[0.802-0.959])がMPRを正確に予測した。反対にベースラインのSUVmaxはMPRと関連しなかった(p=0.184)。さらに、コホートCでは、治療後のSUVmaxが独立した予測因子となっていた(AUC:0.928[0.823-0.958])。さらに術前化学免疫療法におけるΔSUVmax%(54.4 %、AUC:0.912[0.824-0.994])と治療後SUVmax(3.565、AUC:0.912[0.824-0.994])の両方の最適カットオフポイントを使用すると、より強固な予測が可能となった。RNAデータでは、解糖系酵素であるPFKFB4の発現は、術前化学免疫療法後のSUVmax値と腫瘍細胞増殖と正相関があった。今回ΔSUVmax%と治療後のSUVmaxは、術前化学免疫療法後のMPRを予測するための正確かつ非侵襲的な検査であることが示された。
感想
術前治療後SUVが低下した方がMPRを予測するという当たり前といえばそうなる研究です。結局手術するのであればMPRかどうかは正確にわかるので、治療後手術前にPETを取る意味はあまりないとも言えます。ただ図2をみるとROC曲線はかなり左上に寄っており、どのような術前療法をしてもMPRに導けるのは半分程度のSUV低下がないとかなり難しくなることを示唆します。本文には縮小してもSUVがあまり下がらずMPRにならない症例が提示されています。ニボルマブ+化学療法の術前治療試験(CheckMate 816)ではpCRとそれ以外の無再発生存は当然のことながら大きく開いていました[Forde PM NEJM2022 PMID:35403841]。となると化学療法でのRECIST評価は正確なのだろうかと疑問に思えてきます。過去には画像評価より機能評価ということで研究されたことがありますが、少なくとも肺癌に関してはすたれてしまいました。
今後術前免疫複合療法が臨床に入ってきます。将来的には術前治療後にSUVが大きく下がって手術が不要になるとか、しばらく経過観察でもよいというところまで踏み込めると素晴らしいなと思います。