高齢者へのweeky CBDCA + nab-Pac + RTはかなり慎重であるべき

Daily low-dose carboplatin or weekly carboplatin plus nab-paclitaxel for concurrent chemoradiotherapy in older patients with locally advanced non-small cell lung cancer (JCOG1914): A randomized phase 3 trial.

Omori S et al.
Lung Cancer. 2026 Oct;220:
PMID:42636548.

Abs of abs,
日本における高齢者での切除不能局所進行非小細胞肺癌の標準治療は、低用量カルボプラチン連日投与と胸部放射線療法の同時併用である。今回の非盲検第3相試験は、日本の38施設で実施された。75歳以上の患者を対象としカルボプラチン連日投与(30mg/m2)群または週1回カルボプラチン(AUC=2)+ナブパクリタキセル(30mg/m2)投与群に1:1の割合で無作為に割り付け、胸部放射線療法を併用した。治療完了後は、デュルバルマブの維持療法が推奨された。主要評価項目は全生存期間であり、これに基づいて、週1回カルボプラチン+ナブパクリタキセル療法が、連日低用量カルボプラチン療法に対して非劣性を示すかどうかを評価した。2020年12月から2024年3月までに、124名の患者が登録された(カルボプラチン群:61名、カルボプラチン+ナブパクリタキセル群:63名)。予め計画した中間解析によれば、最終的に非劣性を証明し得るベイズ予測確率は8.0%であった。したがって試験は早期に無効中止された。カルボプラチン群では全生存期間の中央値を推定できなかったが、カルボプラチン+ナブパクリタキセル群の推定値は26.1ヶ月であった(ハザード比1.56、[0.79-3.11]、p=0.200)。カルボプラチン+ナブパクリタキセル群では、治療関連死が2例、がん非関連死亡が7例発生した。6週時点で、カルボプラチン群の患者はカルボプラチン+ナブパクリタキセル群の患者よりもQOLが高かった(オッズ比 0.39[0.18-0.81]、p=0.012)。日本における高齢者での切除不能局所進行非小細胞肺癌の標準治療は、依然として低用量カルボプラチン連日投与と胸部放射線療法の同時併用のままである。

感想
最近海外に倣って「高齢者」という枠組みを薄めつつあります。日本では化学放射線療法についても何歳まで化学療法を加えるべきか、最適レジメンは何かが長く議論され2本の臨床試験が一つの到達点となっています。JCOG0301[Atagi S LancetOncol2012 PMID:22622008]では70歳以上に対し放射線単独と連日カルボプラチン上乗せありなしを比較しました。結果は22.4ヵ月vs.16·9ヵ月:ハザード比0.68[0.47-0.98]で連日カルボプラチンが標準治療となりました。もう一つは年齢制限なしの化学放射線療法の3群比較(WJTOG0105)[Yamamoto N JCO2010 PMID:20625120]でMVP vs weekly CBDCA+CPT-11 またはvs. Weekly CBDCA+PACで非劣勢試験として計画されました。結局非劣勢は証明されなかったものの生存期間ほぼ同じ(20.5、19.8、22.0ヵ月)で、毒性はwCBDCA+PACで少なかったことからこのレジメンが最適と考えて以降の対照群に採用するとの結論でした。
このwCBDCA+PACの毒性が軽いことから、実地で高齢者にも使っている施設が多くあります。また連日カルボプラチンが面倒ということもあります。したがって必然的に生まれた臨床試験と言えます。しかし結果は意外なことに連日カルボプラチンに負けていないことが否定できない結果となりました。非劣勢が示せなかったので、統計的に言えることはそれだけですが、細かく見ると大きな問題を提起しています。それはOS、PFS、ORR、デュルバルマブ移行率、治療完遂率、治療関連死、QOLのすべておいて負けており、実地臨床では重く受け止めるべき結果であるということです。また治療関連でない死亡も試験群に見られており80歳以上、Sq、G8スコア14以下でより多く見られていました。改めて高齢者への化学放射線療法は適応を慎重に見極めるべきとの警鐘と言えます。Negative trialは話題にもならないことが多いですが、レジメンを年齢制限しない風潮と実地の感覚を裏切る結果であり、臨床での意思決定に非常に役立つエビデンスと評価します。少なくとも指導医層は知っておくべき試験であると思います。