Poor Performance Status Associated With Inferior Tarlatamab Outcomes in a Large, Multi-institution Real-World Database of Patients With 2L + ES-SCLC.
Barsouk AA et al.
Clin Lung Cancer. 2026 Jul 2;27(7):50-55.
PMID:42501611.
Abs of abs,
タルラタマブは、2次治療以降の進展型小細胞肺癌に対して承認されている。これまでに発表された後ろ向き研究では、タルラタマブによる生存率はDeLLphi-304試験より下回っていた。タルラタマブの実臨床における転帰をさらに追求するために、大規模な多施設共同データセットを分析した。米国を拠点とする匿名化されたデータベースを活用し、2024年3月から2025年9月の間にタルラタマブによる治療を受けた患者を特定した。ベースライン特性、治療歴、および臨床転帰をまとめた。治療中止までの期間、タルラタマブ投与開始からの実臨床における無増悪生存期間、全生存期間は、カプラン・マイヤー法を用いて推定した。ベースライン時の背景因子の影響については、ログランク検定およびコックス回帰分析を用いて推定した。特定された204名の患者のうち、90名(44%)が女性であった。62名(30%)がPS 0、86名(42%)が1、48名(24%)が2以上であった。75名(37%)が2次治療でタルラタマブを投与され、64名(32%)が3次治療、65名(31%)が4次以上で投与を受けた。PFSは3.8ヶ月(m)、TTDは2.3ヶ月、OSは11.2ヶ月であった。患者の性別、人種(黒人対白人)、および年齢(65歳未満対65歳以上)は、TTD、PFS、またはOSと関連しなかった。ECOG PSが2以上である群は、ECOG 0-1の群と比較して、PFSが短かった(2.1対4.5;p=0.004); TTD(1.6 対 2.8;p=0.001)およびOS(3.2 対 13.4;p<0.001)の短縮と関連していた。これまでで最大規模の後ろ向き解析において、PS=0/1患者におけるTTD、PFS、およびOSは、DeLLphi-304で報告された転帰と類似していた。対照的に、PSが2以上である場合は、TTD、PFS、OSが短縮する傾向が見られ、これが臨床試験と比較して実臨床における転帰が劣る一因となっている可能性がある。本コホートにおいて、治療ラインは転帰と関連しておらず、人種、性別、年齢も同様であった。
感想
第3相DeLLphi-304試験[Mountzios G NEJM2025 PMID:40454646]で、2次治療におけるタルラタマブによる治療は、化学療法と比較して有意に長い全生存期間(中央値 13.6か月 vs. 8.3か月(ハザード比0.60[0.47-0.77])を示しました。日常臨床でも投与が可能となり、徐々に報告が出てきています。総じてPS不良例には奏効しない印象です。また奏効率は35%とされていますが、体感的にはもう少し低いです。DeLLphi-304試験での過去記事で述べたように、PFSは半年までほとんど差がなく比例ハザード性があやしいわけですから、余計に効いてる実感は得られにくいでしょう。改めまして、今回は後ろ向きでかなりの症例数を集めてみましたという研究です。要点はPS不良(2以上)はPS=0/1と比較し明らかに生存期間が短く(3.2ヶ月 vs. 13.4ヶ月)、年齢等を含めた多変量解析でもハザード比3.09であり、これはほぼBSCと変わりない、つまりタルラタマブの恩恵は受けないであろうことです。参考文献に多発性骨髄腫におけるいわゆるフレイルの患者のCAR-T療法の効果が劣ることが引用されています[Davis JA TransCellTher2024 PMID:38142943]。抗がん剤もPD-L1阻害薬でも同じですが、特に免疫系に頼った薬ではPSが悪いことは最も強い不利な因子と感じます。小細胞肺癌はあっという間にPS不良に陥る場合があり、なかなか思い通りに治療できない場合もあります。現時点ではPS不良例に対してのタルラタマブ使用には特に慎重であるべきと考えています。