ICIの長期成績、日本人の実地データで4生率17.9%

Long-Term Survival of Patients With Non-Small Cell Lung Cancer Treated With Immune Checkpoint Inhibitor Monotherapy in Real-World Settings.

Yoneda T et al.
Clin Lung Cancer. 2022 Sep;23(6):467-476. doi:
PMID:35618628.

Abs of abs.
免疫チェックポイント阻害剤単剤は、進行非小細胞肺癌において、殺細胞性抗がん剤よりも全生存期間を改善した。最近では、化学療法とICIの併用でさらに治療成績が向上している。ICI単剤は依然として重要な治療選択肢であるが、実地での長期成績はあまり存在しない。今回は多施設共同後ろ向き観察研究で、2015年12月から2018年12月までに、組織学的に進行転移または再発非小細胞肺癌と診断され、ICI単剤治療を受けた連続435名の患者を対象に調査した。データは電子カルテおよび薬局データベースから収集した。無増悪生存期間は3.4カ月、全生存期間は13.0カ月であった。奏効率22.8%、病勢制御率は54.9%であり、4年生存率は17.9%となった。多変量解析で高齢者(70歳より上)、PS良好、PD-L1が50%以上、骨転移がない、irAEとして皮膚毒性があることがPFS延長と相関していた。全生存期間とはPS良好、PD-L1が50%以上、骨転移がないこと、皮膚毒性ありが相関していた。本研究では4年生存率17.9%であり、PS良いこと、PD-L1が50%以上であること、骨転移がないこと、皮膚毒性があることが良好なPFSとOSに関係していた。

感想
日本人の実地データとして参考になる研究です。22.1%が初回治療としてICIが投与されています。4年生存率が2割弱であることは覚えておいて損はありません。先行研究からすると、おそらく5年生存率も似たような数字になるはずです。PFSで高齢という因子が出てきたのは偶然として、骨転移がないというのは面白い結果です。肝転移が予後不良と出るのが多いのですが、多変量解析では消えています。おそらくは転移個数つまり腫瘍量との関連に思えます。総じて恩恵を受けるのは、PD-L1が高く、ICIにきちんと反応して皮膚毒性が出現し、腫瘍量が少ない患者とまとめることができそうです。既知ではありますが、ICIでCR/PRを示した人の予後はかなり良くOSは42ヶ月になっていました。また面白いのはTPS>=50%、1-49%、1%未満でOSが17.1ヶ月、5.9ヶ月、14.9ヶ月となっていた点です。1-49%が悪いのは、50%以上がICIの恩恵を受け、1%未満はドライバー変異があるケースが多く治療の進歩の利益を受けられないからでしょうか?ICIについて議論する時に使えそうなデータがたくさん載っており価値の高い論文と感じました。