ICI治療2年完遂後のフォローアップはどうあるべきか

Consensus recommendations on surveillance and survivorship for patients with unresectable/stage IV non-small cell lung cancer after completing Immunotherapy: a Delphi study by Canadian experts.

Ko JJ et al.
Lung Cancer Epub 2026 May 12.
PMID:42127534.

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免疫療法の登場により、切除不能またはIV期の非小細胞肺癌患者の一部は、標準的な治療期間(通常2年間)を完了した後も持続的な奏効を得られるようになった。しかし、この患者集団における治療後の経過観察および患者ケアに関するガイドラインは、特にカナダのおいては依然として限られている。腫瘍内科医、放射線腫瘍医、プライマリケア医を含む10名の専門家からなる会議で、修正デルファイ法を用いてコンセンサスに基づく推奨事項を策定した。このプロセスでは、主要な論点についてまず討議を行い、引き続き匿名投票、70%以上の合意が得られるまで反復的な精緻化が行われた。以下の4点について合意が得られた:(1) 免疫療法後の自然経過について、20-25%で持続的な奏効が認められる一方、遅発性進行のリスクがある; (2) サーベイランス:2年間は3-6ヶ月ごとに、その後は3年間は6-12ヶ月ごとに、その後は臨床的必要性に応じて、造影胸腹部CT検査(状況により骨盤部も)を推奨し、過去に脳転移の既往がある患者については脳MRI検査についても追加で検討する;(3) 退院時の考慮事項:患者の準備状況、進行に対する不安、および多職種による支援を重視する; (4) サバイバーシップ:免疫関連有害事象(irAE)のモニタリング、生活習慣の改善、心理社会的支援に重点を置く。これらの推奨事項は、免疫療法後の進行性非小細胞肺癌の長期生存を管理するための枠組みを提供し、既存のガイドラインにおける空白を埋めるものである。

感想
現実問題に即した指針です。現在進行肺癌に対して行ったICIは、2年をめどに続けるかどうか患者と相談するのが一般的です。肌感覚としては止める人の方が少なく、間隔をあけるなどの調整はあるものの継続投与が多いです。効率的な医療という意味では、2年で止めて、再発リスクに応じたその後の適切なフォローアップを考えた方がはるかに合理的です。カナダはプライマリーケアが普及しており研究も盛んです。今回の指針作成には共通認識を作り合意点を探っていく方法が取られています。共通認識とは、2年のICI治療で20-25%が長期生存する、しかしPD-L1発現、腫瘍量、もともとの組織型により、2年以降に10-20%の晩期再発が発生する可能性がある、病勢進行時にはICIまたは化学療法による再治療が有効な場合がある、です。
ごく簡単に言うと推奨されたのはICI完了後2年は3-6ヵ月毎の造影体幹部CT(その後3年間は6-12か月毎)、脳転移があった者のみ4-6ヶ月毎の頭部MRIというフォローアップです。免疫療法完了後、5年経過すれば必要に応じて経過観察を行うのが妥当とされています。また海外おなじみですが、腫瘍マーカーは感度と特異度が低く監視に使用しないとも述べられています。最終的に治療した専門施設から手放すかについては、安定性や患者の心配などにより考慮するとし、再発リスクが高い患者やirAEが継続している患者は手放してはいけないと言っています。
根治の可能性のある患者のフォローアップの問題は解決が難しいです。根治切除例ですら長年にわたって議論が続けられています。実際、根治手術後に綿密なフォローアップをしても生命予後延長の確定的なエビデンスはありません。ではフォロー不要なのかと言えばそうではなく、肺癌学会ガイドラインCQ18では「定期的な経過観察を強く推奨」しています。そもそも医療とは生命延長だけでなく不安を和らげる意味もあるわけです。それらの点を考慮した結果であり、今回のICI完治が見込める症例でも、予後延長のエビデンスだけでなく総合的に考えていく必要があります。