KRAS G12Cに対するソトラシブの2年追跡結果

Long-Term Outcomes and Molecular Correlates of Sotorasib Efficacy in Patients With Pretreated KRAS G12C-Mutated Non-Small-Cell Lung Cancer: 2-Year Analysis of CodeBreaK 100.

Dy GK et al
J Clin Oncol. 2023 Apr25: Epub ahead of print.
PMID:37098232.

Abs of abs.
KRAS G12C阻害薬としては最長となる追跡期間となるCodeBreaK 100試験について、ソトラシブの長期有効性と安全性およびバイオマーカーについて報告する。この多施設共同、単群、非盲検の第I/第Ⅱ相試験には、前治療で進行したKRAS G12C変異陽性の進行非小細胞肺癌174人が登録された。患者(N=174)にはソトラシブ 960mgが投与された。主要評価項目は第I相では安全性と忍容性、第Ⅱ相では奏効率であった。ソトラシブは、奏効率41%、奏効期間中央値12.3カ月、無増悪生存期間6.3カ月、全生存期間12.5カ月、2年生存率率33%であった。長期奏効(PFS≧12カ月)は40人(23%)に認められ、PD-L1レベルは多様、一部STK11/KEAP1の体細胞変異を有する患者で認められ、ベースラインの循環腫瘍DNA低値と関連していた。ソトラシブの忍容性は良好で、遅発性毒性はほとんどなく、治療中止に至ったものはなかった。これらの結果は、予後不良群も含め、ソトラシブの長期的な有用性を示している。

感想
この論文を読む前にCodeBreaK100[Skoulidis F NEJM2021 PMID:34096690]の元報告先に読むべきです。その報告では奏効率37.1%、PFS6.8ヶ月とほとんど変わりはありません。主な毒性は下痢、食欲不振などの消化器症状が主体です。KEAP1変異があるとやや奏効が落ちることはすでに知られていました。今回長期奏効(PFS≧12カ月)に関連する因子が報告されているFig2が今回の中心です。これを見るとKEAP1陽性やPD-L1≧50%であまりメリットがないかもしれません。しかし全体的にnが小さくまだ確定的ではありません。KRAS阻害薬については肺癌学会誌のレビューがお勧めです。
さて今回の対象集団は8割が抗がん剤+PD-L1阻害薬の使用後であり、通常であればPFSは2-3ヶ月程度ですので、ソトラシブは劇的ではないものの必ず試すべき薬と言えます。ただEGFR/ALK阻害薬のように脳転移や髄膜炎に効くかどうかは、まだケースレポートレベルであり大規模な検討データがありません。これから後ろ向きにデータを集めて報告されるでしょうが、私たちの少数例の経験では、KRAS変異は足が早く初回治療から使いたいというのが印象です。