Real-World Efficacy and Safety of Amivantamab for EGFR-Mutant NSCLC.
Wang K et al.
J Thorac Oncol. 2024 Mar;19(3):500-506.
PMID:38012986.
Abs of abs.
アミバンタマブは、EGFRエクソン20挿入変異を対象に、既治療例に承認された二重特異性EGFR/MET抗体である。他のEGFR変異肺癌において、オシメルチニブとの併用または非併用、放射線療法を併用した場合の有用性と安全性はよくわかっていない。4病院のデータベースを検索し、臨床試験外でアミバンタマブ治療を受けたEGFR遺伝子変異患者を対象とした。集団全体および事前に規定したサブグループにおける奏効、治療期間、放射線併用の安全性について解析した。61人の患者がアミバンタマブの投与を受けた。年齢中央値は65歳(31-81歳)、72.1%が女性、77%が非喫煙者であった。前治療数の中央値は4ラインであった。EGFR遺伝子変異別では、39例が古典的変異コホート、15例がエクソン20コホート、7例が非典型例コホートであった。アミバマブにオシメルチニブ併用が37人(58.7%)、放射線併用が25人(39.1%)含まれた。全体で奏効を評価できた患者は54人で、19人(45.2%)に臨床的奏効が認められ、病勢コントロール率(DCR)は64.3%であった。評価可能な33人の患者のうち古典的変異コホートでは、12人(36.4%)が臨床的奏効を示し、DCRは48.5%であった。非定型例コホートでは、7例中6例(85.7%)が臨床的奏効を示し、DCRは100%であった。エクソン20コホートでは、評価可能な13人の患者のうち5人(35.7%)が臨床的奏効を示し、DCRは64.3%であった。アミバンタマブの使用により報告された有害事象は、以前と同様であった。オシメルチニブ併用または非併用でアミバンタマブを放射線療法と併用した場合、追加の毒性は認められなかった。今回の実地データから、アミバンタマブはエクソン20挿入変異以外のEGFR遺伝子変異を有する患者にとって有効な選択肢であることがわかった。オシメルチニブとアミバンタマブの併用は安全であり、実行可能である。放射線療法とアミバンタマブと逐次または同時併用しても安全であると思われる。
感想
今後出てくるであろうアミバンタマブの毒性についての実地報告です。文中の非典型変異コホートとは、Fig1にある通りEGFR L792R、EGFR exon19 I740_K745dup、EGFR G719S、EGFR G719A、EGFR G719A、EGFR exon19 E746_S752delinsV、EGFR exon19 E746_T751delinsVAで、いわゆるマイナー変異と19DELの珍しい変異ととらえて良いかと思います。奏効率が高いですがオシメルチニブとの併用下のデータです。症例数が少ないので何とも言えませんが、少なくとも「有望」とは言えます。有害事象についてはFig2がポイントとなります。注入反応の割合が非常に高く全体でも65%程度、G3も2割程度と頻度が高くなっています。オシメルチニブ非併用でもそれほど頻度は下がりません。ただしこれは投与方法が確立していない初期の頃が含まれているためと考察されています。皮疹も半分近くあり以下爪囲炎、倦怠感、浮腫の順になっています。MET阻害の毒性と注入反応に新たに注意といったところでしょうか。写真が載っている頭皮への毒性も今後問題になるかもしれません。重症例はダプソンという薬が投与されています。これはジアフェニルスルホン(レクチゾール)という古い薬です。これらの毒性をコントロールできれば放射線併用も問題なさそうです。Ex20insはめったにお目にかかりませんが、オシメルチニブ耐性化に対する治療は喫緊の課題です。注意すべき毒性を先進施設の実地で先に報告してくれるのは非常にありがたいことです。学問的にはアミバンタマブ耐性機序が気になりますが、7人についてリキッド含め解析したところMET増幅、MYC増幅などバラバラでした。これらの多様性は治療可能ターゲットが出てくることを期待して、今後EGFR変異にオシメルチニブをした後、アミバンタマブをした後とその都度可能なら再生検がベターということになると思います。保険医療としてどこまで可能かどうかは別問題ですが、リキッドは2回3回と認めてくれるよう期待します。