術前ニボルマブ+抗がん剤と補助療法:CheckMate 77T

Perioperative Nivolumab in Resectable Lung Cancer.

Cascone T et al.
N Engl J Med. 2024 May16;390(19):1756-1769.
PMID:38749033.

Abs of abs.
標準治療としての術前ニボルマブ+化学療法は、切除可能な非小細胞肺癌の転帰を改善している。ニボルマブによる周術期治療(術前治療に引き続き手術および術後補助療法)は、転帰をさらに改善する可能性がある。今回の第Ⅲ相無作為化二重盲検試験では、切除可能なⅡA期からⅢB期非小細胞肺癌に対して、術前ニボルマブと化学療法を併用する群、または術前化学療法とプラセボを3週間ごとに4サイクル投与する群に割り付け、その後手術を行い、ニボルマブまたはプラセボを4週間ごとに1年間投与する補助療法を行った。主要評価項目は、独立評価の無再発生存期間であった。副次項目として、病理学的完全奏効と奏効、全生存期間、安全性であった。今回の事前規定された中間解析(追跡期間中央値25.4ヵ月)では、18ヵ月の無再発生存率はニボルマブ群70.2%、化学療法群50.0%であった(病勢進行または再発、断念手術、死亡のハザード比0.58[0.42~0.81]; P<0.001)。病理学的完全奏効はニボルマブ群の25.3%、化学療法群の4.7%に認められた(オッズ比6.64[3.40~12.97]); 病理学的奏効は35.4%、12.1%に認められた(オッズ比4.01[2.48~6.49])。グレード3、4の有害事象はニボルマブ群の32.5%、化学療法群の25.2%に発現した。切除可能非小細胞肺癌において、ニボルマブによる周術期治療は化学療法よりも有意に長い無再発生存期間を示した。新たな安全性情報はなかった。

感想
周術期の議論では、手術検体が取れるため病理組織で見た評価ができます。癌細胞が完全に死滅しているpathological complete response(PCR)、および大部分(90%以上)が死滅した状態major pathological response(MPR)という用語が使われますが良い日本語がありません。特にPCRという言葉は用語の混乱を招きます。
さて今回の試験はKEYNOTE-671[Wakelee H NEJM2023 PMID:37272513]とほぼ同じコンセプトになります。病理学的奏効や無再発生存に関しての術前の有効性はわかったとして、全生存期間の結論は出せません。術前だけのCheckMate816試験とのEFSの比較を行っても、大きな利点があるとはまだ言えないと思います。PD-L1<1%のサブ解析においてもEFSハザードは0.73と若干下がるものの利益はありそうです。Ⅳ期肺癌でもそうですが、おそらく毒性さえ耐えられれば治療は入れれば入れるほど少しづつ良くなるのではないかと思います。しかしその利益が手間も含めた医療資源のコストに見合うものかどうかがこれから問われると思います。免疫による補助療法も1年より2年、3年の方がわずかに効果が高くなるのではないかと予想します。しかし外来化学療法が溢れかえっている状況では、長期にわたる補助療法がどこまで許容されるか考える時期に差し掛かっているかもしれません。最近下火になっている非劣勢試験も、簡略化、短縮化の意図をもって試されるべきでしょう。しかし薬剤を使わない方向の試験は誰も資金を出しませんし、成績向上には繋がらないので難しいところです。