The role of surgery in the treatment of oligoprogression after systemic treatment for advanced non-small cell lung cancer.
Joosten PJM et al.
Lung Cancer. 2021 Nov;161:141-151.
PMID: 34600405.
Abs of abs.
進行非小細胞肺癌は一般に根治しない。そのため全身療法が中心となり手術を含む局所治療の追加については、依然として議論がある。オリゴ進行は、進行非小細胞肺癌で、長期にわたる病勢安定期の後、あるいは全身療法で部分奏効または完全奏効した後に、病勢の進行が局所に限られている状態と定義される。このレトロスペクティブな研究では、進行期非小細胞肺癌に対する全身療法後にオリゴ進行のために切除を受けた患者の転帰を調査した。対象は手術を受けた進行期非小細胞肺癌のオリゴ進行の患者であり、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)に関連する背景因子を検討した。2015年1月から2019年12月の間に、28人の患者がオリゴ進行(原発巣(n=12)、その他の転移部位(n=16))に対し手術を受けていた。切除時の年齢中央値は60歳(39~86歳)で、57%が女性であった。術後の合併症は2名(7%)に見られた。オリゴ進行の切除後に病状の進行が見られたのは17人(61%)。PFS中央値は手術から7カ月(95%CI 6.0~25.0)、OS中央値には到達しなかった。7人の患者(25%)が追跡調査中に死亡した。年齢はOSの予測因子、臨床T4期はPFSの予測因子であった。初診時にM1と診断された患者は、初診時にM0と診断された患者に比べて、PFSの改善の予測因子であった。原発のオリゴ進行により切除された場合、他の転移部位のオリゴ進行よりPFSが良好であった。全身治療を受けた進行非小細胞肺癌患者において、オリゴ進行の外科的切除は実行可能であり、長期生存を達成するために考慮すべきである。
感想
手術できそうと思って全身検索をしたら単発脳転移があったという症例を経験することがあります。また術後に局所のリンパ節再発を見ることもよくあります。いわゆるオリゴ転移はその個数をはじめとして定義が難しいですが、技術的には局所処置が可能な転移と認識できます。肺癌学会ガイドライン2021年版では「CQ16.Ⅳ期非小細胞肺癌に対し,局所治療を追加することは勧められるか?」との項目があり「転移臓器・転移個数が限られているsynchronous oligometastatic diseaseで,薬物療法により病勢が安定している場合,局所治療の追加を行うよう提案する。〔推奨の強さ:2,エビデンスの強さ:C,合意率:66%〕」としており、局所治療の追加を考えてもよいことになっています。ただこれらの根拠となった研究は免疫療法が本格導入される前なので、時間が立てば良い方にも悪い方にも見直される可能性があります。