Continuous Versus 1-Year Fixed-Duration Nivolumab in Previously Treated Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer: CheckMate 153.
Waterhouse DM et al.
J Clin Oncol. 2020 Sep 10:Online ahead of print.
PMID:32910710
Abs of abs.
非小細胞肺癌(NSCLC)についてだけではなく免疫療法の最適期間に関するデータは限られている。今回は大規模コミュニティベースの第Ⅲb/Ⅳ相試験であるCheckMate153の探索的解析を行い、ニボルマブの有効性と安全性に対する1年間だけ投与した場合とその後も継続投与した場合を比較した。前治療歴のある進行NSCLC患者に、ニボルマブ単剤(3mg/kg 2週間毎)を投与した。1年後も治療を継続中の患者、あるいは画像上は進行が認められるが有益性があると判断される患者を対象とした。これらをランダム化し病勢進行あるいは毒性に耐えられなくなるまでニボルマブを継続するか、ニボルマブを中止し病勢進行後に治療を再開できる選択肢を持つ状態にするかに無作為に割り付けられた。1428人が治療開始され、うち252人が連続治療群(n=127)または1年固定治療群(n=125)に割り付けられた(ITT集団)。このうち、継続治療群では89例、1年固定治療群では85例が無増悪での割り付けであった(PFS集団)。PFS集団におけるランダム化後の最低フォローアップ期間は13.5ヵ月であり、PFS中央値は1年固定投与群の方が良好であった(24.7ヵ月 vs 9.4ヵ月;ハザード比、0.56[0.37-0.84])。ランダム化からの生存期間中央値は、PFS集団で(未到達 vs 32.5ヵ月;ハザード比0.61[0.37-0.99])およびITT集団において、継続的治療と1年間の固定期間治療を比較して長かった(未到達 vs 28.8ヵ月;ハザード比0.62[0.42-0.92)。新規の治療関連有害事象はほとんど見られず、新たな懸念も生じなかった。今回の探索的解析から、既治療進行NSCLCにおける免疫療法継続と期間固定に関する初めての無作為化データである。ニボルマブを1年以上継続することで転帰が改善されることを示唆している。
感想
2017年のESMOで話題となった演題です。今回の試験CheckMate 153試験はPS2や高齢者などリスクのある患者も含めた既治療例に、ニボルマブを1年間投与し有害事象を見ることが主目的でした[Spigel DR JTO2019 PMID:31121324)。今回検討された継続投与と中止の比較は、あくまで設定を持たない探索的研究と位置付けられています。本研究がJTOで探索研究がJCOというのは滅多にないことですが、それだけ本研究の重要性が評価されているということになります。結論はFig4にまとめられており、サブグループによる生存曲線が示されています。免疫療法でレスポンスし1年後にPDになっていない人は、明らかに継続に分があります。最大効果がSDであった人、またすでにPDで継続の利益がありそうという人では生存曲線が交差しています。これらは雑多な集団であり、例えばSDでも縮小効果あるものと、増大傾向だがPDまで行かないものとはおそらく違うのだろうと想像します。つまり集団として効いているものに対して、1年で止めてしまうと後で投与しても追いつけないということになります。
高い薬剤ですのでこの結果だけをもって、継続しか考えないのでは芸がありません。免疫系は複雑であり、2年なら、3年ならと一律の期限で切れるものではないでしょう。CMLに対するTKIの経験を参考にすると、もう少し緻密なモニタリングができるようになることが必須であり、当面はcfDNAの研究が進むことが期待されます。また再発予測モデルがもう少し進むことも必要でしょう。あるいはその前に保険制度でカバーし切れなくなる可能性もあるかも知れません。