SKYSCRAPER-01: Tiragolumab in Combination With Atezolizumab in Previously Untreated PD-L1-High, Locally Advanced, Unresectable or Metastatic Non-Small Cell Lung Cancer.
Peters S
J Clin Oncol. 2026 Jul 27:Epub ahead of print.
PMID:42507968.
Abs of abs,
チラゴルマブとアテゾリズマブの併用療法は、転移性非小細胞肺癌において、主にPD-L1高発現において有望な生存アウトカムを示した。今回は第Ⅲ相SKYSCRAPER-01試験において、チラゴルマブとアテゾリズマブの併用療法をさらに評価した。未治療の局所進行性切除不能/転移性PD-L1高発現非小細胞肺癌患者を対象に、チラゴルマブ(600mg)+アテゾリズマブ(1200mg)群またはプラセボ+アテゾリズマブ(1200 mg)群に1:1の割合で無作為に割り付け、疾患進行、臨床利益が失われるか許容できない毒性が認められるまで、21日間隔で投与を行った。主要評価項目は、主要解析集団(22C3によるPD-L1高発現)における、主治医評価の無増悪生存期間および全生存期間であった。521名の患者が、チラゴルマブ+アテゾリズマブ群(n=262)またはプラセボ+アテゾリズマブ群(n=259)のいずれかに無作為に割り付けられた。主要PFS解析時点(追跡期間中央値 9.9 ヶ月 [6.2-13.8])において、INV-PFSの中央値は、チラゴルマブ+アテゾリズマブ群で7.0ヶ月[5.6-9.8]、プラセボ+アテゾリズマブ群で5.6ヶ月[4.4-7.0]であった(ハザード比0.78 [0.63-0.97];p=0.02 [有意差なし])。最終的なOS解析(追跡期間中央値17.9ヶ月[6.7-39.0])において、チラゴルマブ+アテゾリズマブ群のOS中央値は23.1ヶ月[17.7-28.8]、プラセボ+アテゾリズマブ群は16.9ヶ月[14.6-21.3]であった(ハザード比0.87[0.7-1.1]; p=0.22 [有意差なし])。全体として、チラゴルマブ+アテゾリズマブ群では41.2%(n=110/267)、プラセボ+アテゾリズマブ群では33.8%(n=89/263)の患者がグレード3/4の有害事象を経験した。治療関連死は、各群でそれぞれ4例および2例発生した。未治療のPD-L1高発現非小細胞肺癌において、チラゴルマブ+アテゾリズマブは、アテゾリズマブ単独と比較して、INV-PFSまたはOSにおいて統計学的に有意な有益性を示さなかった。
感想
TIGIT(T cell Immunoreceptor with Ig and ITIM domains)はCD155(PVR:PolioVirus Receptor)に結合し、T細胞やNK細胞の活性化を抑制しています。つまりTIGITはPD-1とは異なる経路で作用するため、PD-1/PD-L1阻害薬と併用することで相補的にT細胞活性化を高めるという仮説が立てられてきました。理論的には非常に素晴らしいのですが、この試験も含めて第3相試験での結果がでていません。元になった第Ⅱ相試験CITYSCAPE試験[Cho BC LancetOncol2022 PMID:35576957]では、各群29例ずつではあるもののTPS>=50%のT+A vs Placebo+AのPFSハザード比が0.29と大きく開いていました。OSもTPS>=50%でHR0.23と大きく開いており第Ⅲ相で大きく差がつくという見込みは正しいように思います。ただ1-49%のPFSとOSが両者とも完全に重なっており、TPS別に分けた臨床試験で見られる印象と少し違いました。全体としてもTPS>=50%だけの差であり、TIGITの力とこれまでのアテゾリズマブ単剤の試験を合わせて考えると1-49%ではまったく効果が出ないというのは不自然です。αの割り振りを見ています。PFSの有意水準は0.001とし、OSを0.049としています。ここにはP2から見てPFSは結構差がつくだろうという見込みと、最低限OSの有意差を担保したいという希望が見て取れます。それを打ち砕く今回の結果で、こんなことならPFSをprimaryにしてもう少しαを振っておけばという後悔もあるかも知れません。TIGITをターゲットとした創薬は続いていますが、今回の結果を見るといわゆるゲームチェンジャーにはなれそうにはありません